「安保法制」を考える司法書士の会について

 

 

当会は、いわゆる「安保法制」の内容及び審議の進め方について深い憂慮の念を抱いた司法書士が集い、2017年(平成29年)8月7日に、日本国憲法及び安全保障関連法制を研究し、我が国の法制度の健全な発展に寄与することを目的として発足した任意団体です。

 

「安保法制」を考える司法書士の会宣言

 

 憲法に違反し、立憲主義に反する安全保障関連法案の廃案を求める宣言

 

  現在、安全保障関連法案として自衛隊法、武力攻撃事態法、周辺事態法等の安全保障関連の10本の現行法を改正する一括法案(平和安全法制整備法案)及び国際平和支援法案(以下、これらを「本法案」という)が参議院において審議されている。

 

1 本法案は憲法違反の法律である

  本法案は、我が国に対する武力攻撃がないにもかかわらず、「存立危機事態」であれば、集団的自衛権に基づいて他国とともに武力を行使できるようにするものである。

  また、「重要影響事態」または「国際平和共同対処事態」における自衛隊の活動は、武力の行使を行う外国軍隊への支援活動等を、「現に戦闘行為が行われている現場」以外の場所ならば行えるようにするものである。

  これらは個別的自衛権の範囲を超え、また、他国の武力行使と一体となることなどから、恒久平和主義を定めた憲法9条に違反し、憲法前文の平和的生存権を脅かすものである。このような憲法違反の法案は直ちに廃案にすべきである。 

 

2 立憲主義に反する

  憲法が禁止する集団的自衛権の行使を容認するのであれば、法律によるのではなく、憲法96条が定めた手続きにより、憲法改正をするのが大前提である。これは我が国が立憲主義国家である以上、当然である。憲法改正によらない法制化は、立憲主義に反するとともに、憲法の法的安定性を失うことにしかならない。政府が一方的に憲法解釈を都合よく変更できる国は、もはや法治国家とは言えず人治国家である。

  このように、本法案は内容の違憲性とともに、その手法が立憲主義に違反するものである。

 

3 「国民の権利の擁護」を使命とする司法書士として

  司法書士の使命は「国民の権利の擁護と公正な社会の実現」(司法書士倫理1条)にある。そして、「社会秩序の維持及び法制度の改善に貢献する」(同7条)役割が社会や市民から期待されている。今、憲法が保障する人権や統治のルールがないがしろにされようとしている。人権や統治のルールがいい加減に扱われる社会では、我々司法書士がその使命を全うすることは困難になる。我々は、このような状況を許すわけにはいかない。法律家たる司法書士として、憲法違反、立憲主義違反の重大な問題点を有する本法案の廃案を求めるものである。

 

2015年8月7日

安保法制」を考える司法書士の会

 

 

「安保法制」を考える司法書士の会 組織

代    表 司法書士 堀部基進

副代表 司法書士 山本    修

事務局長     司法書士 河内謙治  

事務局次長 司法書士 半田久之